2004/11/27

心の奥に潜めて

こんなことを考えた。

深緑の木々が高く深く生い茂り、透き通った朝露の雫が葉っぱの間からポトリと落ちています。穏やかなみずうみの畔に2羽の白鳥がたたずんでいます。

若くて透けるほど真っ白な白鳥は言いました。
「昨日森の中でカラスを見たわ。なんて素敵な黒い羽なんだろう。私には真っ白の羽しかないわ。お母さん、私はカラスにのようになりたいの。私は真っ白の体を持った白鳥だけどカラスは真っ黒で強くて勇ましいわ。だからこの白い羽の一部を海で黒くして勇ましくなりたいの。」

物静かで体は純白に光っているようにも見えるおかあさん白鳥は言いました。
「白鳥には白鳥の良さがあるのよ。勇ましさは黒い姿だから美しく映えるのではなくて、カラスは勇ましい心を持っているのよ。黒い羽を持つ鳥としてカラスは生命を授かったの。カラスの運命を誇りに思いずっと美しい黒のままであり続けるために、その思いを心の奥に潜めて勇ましく生きているのよ。決して白い羽を欲しがったりしない。白鳥にはこんなに素敵な英知に満ちた白い羽があるのよ。自分のを磨きたいという心がけは立派なことよ。でも立派な白鳥になりたかったらもっと白くなれるように努力しなさい。そうすれば世界中の鳥たちのなかで一番美しい立派な鳥になれるのよ。」

「でも、新しい白鳥が生まれてもいいと思うの。白い羽と黒い羽のふたつを持った新しい白鳥よ。そしたらうんと目立つでしょ。世界で一番になれるわ。」

「自分にないものを欲しがっても一番になれないわ。新しい鳥というのは最初からそういう運命を背負って生まれるものよ。ないものねだりは汚いわ。あなたは自分の白い羽に自信がないのよ。だから黒い羽を得たいだけよ。白鳥が黒い羽を持ったら白鳥ではなくなるわ。ないものを補うではなく自分の範囲の中で新しさをみつけて立派な白鳥になるのよ。そうすることで、白鳥もカラスもお互いを照らしながら美しく生きていけるのよ。ないものねだりは汚いわ。」